このマガジンでは「リユースをもっと楽しむ」をコンセプトに、色々なカルチャーを「リユース」の視点から楽しめる情報を発信しています。
今回ご紹介するのは「モノクロ写真の魅力」についてです。
写真技術の進歩によって、カメラやスマートフォンで誰でも簡単に高画質の写真を撮影することが可能になった近ごろ。
フルカラーで見たままの美しさを残すことも大切ですが、白と黒の色調で表すモノクロ写真のシンプルさには、カラー写真とはまた違う芸術的な魅力を感じられます。
今回は、
という形で、今も人々の心をひきつけるモノクロ写真の歴史や魅力をご紹介します。ぜひご覧ください。
モノクロ写真とは?
「モノクロ写真」は、白と黒の階調だけで写真を表現する写真です。
色の情報が全く無いことから、そこに見える被写体そのものの形や光、質感やコントラストに目がいきやすくなる特徴があります。
また被写体の形が強調される写真の場合は、写真内に写り込む余計な情報を、写真を見る人の目に写りにくくします。
カラー写真のように、カラフルなものやビビットなカラーに目がいくことはありません。
そのことから撮影する場合、色でごまかすことは一切できず、写真の仕上がりをイメージする必要があります。
撮影者の見た景色をそのまま切り取った「カラー写真」が、現実を忠実に再現するという“リアルさ”を感じることに対して、「モノクロ写真」は、“非現実的”や“抽象的”なイメージです。
色がない世界を表現するため、アートな印象を与えることもモノクロ写真の大きな特徴と言えます。
モノクロ写真の魅力
テクノロジーの進化とはまた違う、白と黒を使用することで得られる、モノクロ写真ならではの多様な活用ができるのことも大きな理由です。
様々な可能性を持つモノクロ写真の魅力をご紹介します。
デジタルカメラを使ってモノクロで撮る意味は?
モノクロ写真は、カメラの設定や編集で簡単に手に入ります。
ただ「デジカメで撮った画像をただモノクロに変換する」写真は、アート作品としては少し物足りないかもしれません。
たとえば、フィルムならではの粒子感や諧調の出かた、質感は、アナログのプロセスがあるからこそ得られるもの。
ただなんとなく撮った風景に「ノスタルジックな写真」であるという根拠は存在しません。
美しいと感じたり、ノスタルジーを感じたり「あなたの心が動くような風景」をじっくりと探してみましょう。
自由にモノクロ写真の表現を楽しむには、その「特徴」と「魅力」を知り、それを生かした撮影をする必要があります。
デジタル社会において、あえて時代に逆行してモノクロ写真を撮ることの意味を考えて、奥深いモノクロ写真の魅力を追求してみましょう。
モノクロ写真の汎用性
アートとしての表現
モノクロ写真には、写真をアートとして表現ができる魅力があり、「おしゃれで、かっこいい」印象的な一枚が撮影できます。
黒の濃淡や光を利用し“限られた情報のみで豊かな世界をどうやって表現するか”が問われます。
写真に含まれる色を取り除くことで、写真はぐっとシンプルに。
カラー写真が一般的になった現代でも、白黒写真での表現ははさまざまな場面で使われています。
想像の可能性
上の花の写真を見て、あなたは何色を想像したでしょうか?
“ひまわり”らしい、目が覚めるような黄色やオレンジ色でしょうか。
また人によっては、“ひまわりとは異なる花”と認識して、青や紫、ピンクや赤などを想像するかもしれませんね。
このように、モノクロ写真は情報が欠けている分、足りない情報を見る人が頭の中で埋める必要があります。
写真を見た人が、それぞれ頭の中に自由にイメージができる面白さも魅力のひとつです。
カメラ設定の判断基準
初心者の場合、アートとしての写真を学ぶときに白黒写真が役立ちます。
撮影の際には、露出やISO感度、シャッタースピードが互いにどのように作用しているのか、違いがよりはっきりと分かるでしょう。
実際に体感することで、カメラの仕組みに対する理解が深まるはずです。
モノクロ写真の歴史
ここで、改めてモノクロ写真の歴史について、少しご紹介します。現在のようなデジタルカメラでカラーの写真が撮影できるようになるまでには、白黒写真の時代からの長い歴史があることをご存知でしょうか。
レンズの発明は、遠すぎたり、小さすぎたりして「人間の目に見えないものを見ること」を可能にしました。
これに対して写真は、私たちが見たものをそのまま記録したり、複製したりすることを可能にし、社会に大きな変化をもたらしました。
1830年代中頃、フランスで発表されたダゲレオタイプと呼ばれる世界最古の写真技術が用いられていました。
写真を意味する“フォトグラフィ”という言葉は後から作られたもので、ダゲレオタイプは発明者の写真の礎を築いた、ルイ・ダゲール氏が自分の名を冠して考案したものです。
ルイ・ダゲールの肖像画 引用lomography.jp黒と白、または茶色と白のみで記録されるモノクロ写真の、魔法のように写し出される描写に人々は魅了されたようです。
銀メッキした銅板を鏡面に磨き上げて感光材料とする撮影方法で、日本では「銀板写真法」と呼ばれました。
この方法のデメリットは、複製ができないことと、撮影に長時間かかることです。
ぶれた画像は記録することができないため、人物写真を撮るときは動かないように身体を固定する必要があったそうです。
20世紀初頭にカラー写真の技術が発明されるまで、モノクロ写真が撮影されていました。
そして技術が進化した21世紀においても、一眼レフカメラやスマートフォンを使用したモノクロ写真は撮影され続けています。
ダゲレオタイプ(銀板写真法)による肖像写真 引用100th.t-kougei.ac.jp写真家さん
長いモノクロ写真の歴史の中で、活躍された代表的な写真家さんのご紹介をしていきます。モノクロ時代の代表的な写真家 木村伊兵衛(きむらいへえ)
写真家 木村伊兵衛さん 引用artagenda.jp 写真集『木村伊兵衛 写真に生きる』より「秋田おばこ」 引用crevis.co.jp木村伊兵衛さんは、昭和の初期に実用化が始まったばかりの小型カメラに、写真で表現することの可能性をいち早く発見した写真家です。
スナップやポートレート、ドキュメントなど多彩な分野で第一人者として活躍。
日本の写真史に大きな足跡を残し、さまざまなジャンルにおいて数多くの傑作写真集を残しています。
中でも「秋田おばこ」という秋田美人の代名詞的な写真となっている作品が有名で、“ライカの名手”として名を広め、彼の作品は日本だけでなく世界からも注目を集めました。
文芸諸家のポートレート、東京下町の日常の場面を切り取ったスナップショットは、当時の日常が感じられます。
また木村さんの業績を記念して、1975年に朝日新聞社にて「木村伊兵衛写真賞」が創設されており、毎年、優れた写真制作や発表活動を行った写真家が受賞しています。
現代の写真家 Jason M. Peterson(ジェイソンMピーターソン)
写真家 Jason M.Petersonさん 引用experthub.info
「jasonmpeterson」公式Instagramより引用@jasonmpeterson
Jason M. Petersonさんは25年間もの間、ずっとモノクロ写真を撮り続けています。
2012年からInstagramで写真投稿を始め、若者世代にも注目されている写真家さんです。
風景やポートレート写真が並ぶ彼のInstagramのフォロワーは、100万人以上。
白と黒のコンストラスト、独特のアングル、被写体の形など、彼のオリジナリティ溢れる表現が引き立つのは“モノクロだからこそ”と言えるのではないでしょうか。
モノクロームの単色さを感じさせないストーリー性があり、細部までの美しい表現が魅力です。
彼のモノクロ写真は、一度見たら忘れられないインパクトがあり、強く心に残るでしょう。
モノクロ写真がなぜ現代も人々の心を掴むのか、彼の作品を見ればその理由が分かるかもしれません。
中古相場について
ここまで「モノクロ写真の魅力」についてご紹介しました。
中古相場についてですが、今回は白黒写真で有名な写真家さんの作品などについてご紹介したいと思います。
まずは今回ご紹介した“ライカの名手”、木村伊兵衛さんは推定で50冊ほどの写真集を出版されたといわれています。
その中で高額で取引されているものも多く、初版のものや、もう手に入らない当時の写真雑誌などはとても貴重で、数万円の値で取引されているものも多くあります。
また、写真は銀塩シルバープリントで印刷したものを額縁に入れたものなども中古市場で取引されており、こちらはより貴重で、木村伊兵衛さんのものであれば数十万円の金額で取引されています。
写真好きなら部屋に好きな写真家さんの作品を飾るのは一つの夢といっても過言ではないですよね。
このように「モノクロ写真」というジャンル一つとっても様々な楽しみ方ができ、貴重な作品等をリユースで売買するというのもとてもおすすめです。
数十万円単位の貴重なアイテムなどは、買う時も売る時もしっかりと品物を鑑定できる専門店がおすすめです。
ここまで読んでくださった方へ
ここまで読んで下さりありがとうございました。
今回は、シンプルだけど奥深い「モノクロ写真の魅力」について、ご紹介させていただきました。
カメラへの興味をさらに深めて、ぜひカメラを手に撮影にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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